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最高裁判所大法廷 昭和30年(き)4号 決定 1956年5月21日

主文

本件再審請求を棄却する。

理由

本件再審請求の事由は、別紙請求人の再審趣意書と題する書面記載のとおりである。

先づ本件再審請求の適否について案ずるに、刑訴法は上告を棄却した確定判決に対しては再審の請求を許しているけれども上告を棄却した確定決定に対しては、これを許容する旨の規定を設けていない。しかるに本件再審請求のなされた原裁判は、上告を棄却した確定決定であって判決ではない。しからば同決定に対しては、再審の請求を許すべきではないかというに、同決定は上告を棄却した判決と同じく、原審判決を確定せしめる効力を有する当該事件に対する終局的裁判である。従ってかかる決定につき刑訴四三六条一項各号所定の再審事由の存するときは、これに対しても再審の請求をなし得るものと解するを相当とする。

ところで、本件再審請求の趣意は、請求人に対する強盗殺人及び窃盗被告事件についてなした事実審裁判所の確定判決の事実誤認を主張するだけであって、同条項所定の当裁判所に対する再審事由にあたらないから採るを得ない。

よって同四四七条一項に従い、全裁判官一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 田中耕太郎 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 島 保 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 藤田八郎 裁判官 岩松三郎 裁判官 河村又介 裁判官 谷村唯一郎 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎 裁判官 入江俊郎 裁判官 池田 克 裁判官 垂水克己)

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